【阪大リーブル008】

歴史学のフロンティア
地域から問い直す国民国家史観

(第2664回 日本図書館協会選定図書)

秋田茂・桃木至朗 編


四六判・並製
264頁・本体2000円 税込価格2100円
ISBN978-4-87259-241-2 C1320 [2008]


真の「世界史」叙述のために。

グローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルの「四層構造」で世界をとらえる−新しい歴史学方法論を提示


本書は、大阪大学の歴史系研究者によるリレー講義「歴史学方法論講義」の成果である。
・・・旧来の伝統的な歴史学研究の枠組みを、アジア地域研究や、日本史をとりこんだ世界史研究(グローバルヒストリー)の観点から見直し、新たな切り口・見方を提示しようと試みる。

(本書あとがきより)

 
 
  主要目次

歴史学のフロンティア
秋田 茂・桃木至朗


中国の自画像と日本の中国像
堤 一昭


二〇世紀中国の「国民国家」的凝集力
西村成雄


アメリカ史における地域
中嶋啓雄


イギリス帝国とヘゲモニー
秋田 茂


日本近世の地域支配
村田路人


再び奴隷になる
冨山一郎


複数形のベトナム史、閉じないベトナム史
桃木至朗


仏像の受容と変容
藤岡 穣


中近世の東欧をめぐる地域史論
鈴木広和

 


■2008年11月30日 朝日新聞読書面にて書評が掲載されました。

 歴史を考えるうえで、「国境を線とは考えないでおこう。それは、新たな面になるのだ。」この言葉が本書の趣旨を最も象徴的に表している。
これまで、われわれは、国境線によって区切られた国民国家を単位として歴史を考えてきたが、この国民国家を相対化して、世界史へいたる方法を模索しようという試みが、我が国の内外で、1980年代以来、意欲的に積み重ねられてきている。大阪大学はそういう試みの先端を走っている。

  地域としては、日本、沖縄、中国、ベトナム、東欧を、または素材的には、アジアをめぐる通商や仏像の動きをテーマにして、国民国家単位の歴史の意義は認めつつ、それを突き崩す方法を模索する興味深い論考が並んでいる。

 例えば、中国史の枠組みについて、中国自身や日本において今日の中国史ではなく、もっともフレキシブルな広がりをもったものとして考えているのだという指摘。または、ベトナムにおいて山は境界ではなくて外への窓であって、ベトナム史も「多数のベトナム史」として考えるべきであるという提案や、世界を一つの「システム」として考えて国民国家を相対化する方法の新たな展開などが記される。

斬新的な提案が多く、学ぶべきところの多い本である。

(南塚信吾:法政大教授) 

【関連書籍】
『わかる歴史 面白い歴史 役に立つ歴史』(桃木至朗著.2009)