【阪大リーブル016】

医療技術と器具の社会史 聴診器と顕微鏡をめぐる文化

※(第2701回「日本図書館協会選定図書」


山中浩司 著


四六判・並製
284頁・本体2200円 税込価格2310円
ISBN978-4-87259-301-3 C1336 [2009]



患者にふれたい・患者から離れたい

技術と器具の進化は人間の能力を奪うのか?

聴診器、顕微鏡、「鉄の肺」から新型トイレまで、その誕生から詳細に調べ上げた豊富な資料とエピソードを満載し、医療分野で生まれた器具が、人との間に生んできた様々な文化を現代まで解説する。

17世紀に誕生した聴診器は患者に「触れたい・触れたくない」医師の診察を助け、身体診察技術を向上させ、患者と医師のコミュニケーションも良好にする役割も担ってきた。対して同様の時代に発展していった顕微鏡は、19世紀の汚染されたテムズ河の水を「怪物のスープ」と呼ばせた。不思議なものが見える衝撃と興味から、趣味と娯楽の山師めいた器具から、フック、フィルヒョウ、コッホらにより、医療に欠かせない器具となり実験室医学を確立していった。

器具の進化とともに変化する医師と患者の関係、医学史を知る上で欠かせない1冊である。


 
 
  主要目次

プロローグ―器具から見る社会

スマート・トイレット
「鉄の肺」と人工呼吸器
「中途半端な技術」と医療経済
意思の職業と技術


「不可解な過去」―技術と社会の奇妙な関係

モノのマイナーな研究
テクノロジーの社会的影響
情報技術と社会の奇妙な関係

聴診器が使えない?―現代医療の落とし穴

医師たちの懸念
ベットサイド診断
衰退の原因
「医師はまだ患者を診察しなければならないだろうか」

マホガニーに神託―聴診器と19世紀医学


医療の革命
患者にふれたい・患者からはなれたい
聴診器以前
身分的プロフェッションと医師のディレンマ
新しい医学
ラエネク・パリ学派・病院
間接聴診法と医師たち



電気松葉杖なんかいらない―聴診器と医療シンボル

聴診器の形
モノーラルVSバイノーラル
電気式・電子式聴診器の行方
ヘルメスの杖と聴診器

怪物スープ―顕微鏡の社会的イメージ

もうひとつのシンボル
顕微鏡と望遠鏡
王位協会と『ミクログラフィア』
マイクロスコピストたち
怪物のスープ


顕微鏡のように見なさい―実験室の医学

ドイツと米国
顕微鏡とドイツの大学
「すべては一個の細胞だ」
「顕微鏡と眼」
生体病原説
ロベルト・コッホと顕微鏡写真術
顕微鏡の開発と市場
顕微鏡と臨床

エピローグ―器具のパラダイス・器具のパラダイム

インストルメンテーション
「客観」データ
器具のパラダイム