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学力格差を克服する学校文化

効果のある学校のエスノグラフィー

在庫あり
西 徳宏 著
A5判 446ページ 上製
定価6300円+税
ISBN978-4-87259-743-1 C3037
奥付の初版発行年月:2022年02月

内容紹介
目次
著者略歴

内容紹介

格差社会のなかで実現される公正な学校教育とは何か。「効果のある学校」が持つ文化の成立と継承の実態を描き出す。


 新自由主義に基づく政治経済の進展、日本社会の格差拡大と子どもの貧困の悪化、学力格差の顕在化といった社会問題が山積する現代日本において、社会経済的格差が拡大する中で家庭や職場、村落共同体といった伝統的なコミュニティが不安定化し、公共圏も衰退しつつある。こうした過酷な状況において、学力格差を克服することができる公正な学校教育はいかにして実現可能なのか。

 本書では、継続性がある「効果のある学校」の析出と特徴の検証、学校内部の組織体制と外部諸機関との連携構造分析、「効果のある学校」の教員集団の職業的社会化プロセスの解明から、「効果のある学校」が持つ文化の実態を明らかにする。
 遊びや班活動をきっかけにした対話の場の創出や、仲間関係を構築する集団作り、体系的な学力保障カリキュラムによる手厚い学習支援など、「誰も見捨てない」独自の教育理念が継承されている小学校における10年にわたる参与観察を経て、地域との連携や教員間のアイデンティティ継承、教員たちのジレンマとその克服の過程を詳細に描き出す。
 そして、すべての公立学校教育が、地域社会に固有の歴史的背景を教育実践に織り込み、本来の強みである地域性・平等性・多様性を存分に発揮できるだけの学校教育システムを実体化し、今を生きるすべての子どもたちの教育保障を実現するための教育コミュニティ創建の必要性・重要性を明らかにする。 

目次

序章 公正な学校教育の実現にむけて
1. 新自由主義的政治経済の進展
2. 日本社会の格差拡大と子どもの貧困の悪化
3. 学力格差の顕在化
4. 公正な学校教育はいかにして実現可能か

第1章 先行研究の検討と研究課題の設定
1. はじめに―効果のある学校研究の展開と課題
2. 分析の枠組み
3. 研究の方法論
4. 本書が置かれる学問的文脈
5. 本書の構成

第2章 継続性がある効果のある学校の析出と特徴
―学校・子ども・保護者調査から―
1. はじめに
2. 効果のあるX 小学校の特徴
3. 本章のまとめ―教育実践と生活文化のレリヴァンス

第3章 効果のある学校の教育実践の特性
―なにを受け継いでいるか―
1. はじめに
2. 《よさ》を引き出す集団づくり―気もちを伝えて仲間をつくる
3. 進路保障としての基礎学力保障―差別に負けない学力をつける
4. 地域と連携した人権総合学習―誇りある生き方に学ぶ
5. 本章のまとめ―誰も見捨てない学びの総合化実践

第4章 学校組織文化の内部統合と外部適応
―どのように受け継いでいるのか―
1. はじめに
2. X 小学校の内部統合―学校組織体制の構造と機能
3. Y 中学校区への外部適応―連携ネットワークの構造と機能
4. 本章のまとめ―解放教育実践のハビトゥス

第5章 解放教育実践のアイデンティティ
―なぜ受け継ぐのか―
1. はじめに
2. 苦難の経験と教職アイデンティティの危機
3. 苦難の切り抜けの経験
4. 象徴的な教員像の獲得
5. 本章のまとめ―ストリート・ルーツの教職倫理

第6章 教育実践の継承をめぐるコンフリクト
―なにが問題か―
1. はじめに
2. 教員人口の構造的変化と成員間に生じるコンフリクト
3. 再組織化による相互交流の喚起
4. 地域社会が直面する社会変動とコミュニティの流動化
5. 教育実践の継承に伴うディレンマ
6. 本章のまとめ―解放教育実践の意図せざる帰結

終章 まとめと考察
―効果のある学校のエスノグラフィーが意味するもの―
1. 本書の知見のまとめ
2. 知見の学問的示唆
3. 本書の結論 

著者略歴

西 徳宏(著)(ニシ ノリヒロ)
大阪大学大学院人間科学研究科助教。博士(人間科学)。
専門:教育社会学,学校社会学.
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程,博士課程教育リーディング・プログラム修了,日本学術振興会特別研究員(DC1),カリフォルニア大学サンタクルーズ校客員研究員,大阪大学国際共創大学院プログラム推進機構特任助教を経て,現職。
【主要著書】
『マインド・ザ・ギャップ!―現代日本の学力格差とその克服』(共著)大阪大学出版会,2016。
『学力格差に向き合う学校―経年調査からみえてきた学力変化とその要因』(共著)明石書店,2019。
『未来を創る人権教育―学校と地域をつなぐ実践』明石書店(共著)明石書店,2019。

(上記内容は本書刊行時のものです。)

受賞・書評情報


2022年8月9日
『学力格差を克服する学校文化』の書評が掲載されました

書評
『図書新聞』8/6付で、『学力格差を克服する学校文化―効果のある学校のエスノグラフィー』(西徳宏・著)の書評が掲載されました。評者は山田哲也先生(一橋大学)です。

2022年5月11日
毎日新聞で『学力格差を克服する学校文化』が紹介されました

書評
『学力格差を克服する学校文化』(西徳宏・著)が、5/11の毎日新聞朝刊にて紹介されました。
「教員が子供の小さなつまずきにも全力で応じる様子が丁寧につづられている目線は柔らかく、優しい」