全ての書籍 政治・法律 私営公益事業と都市経営の歴史
紙 版電子版
地方自治体の都市経営と公益事業者の相克の歴史を明治〜昭和に綿って報償契約より究明。経済・法律・社会から論じる。
出版年月 | 2013年06月01日 |
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ISBN | 978-4-87259-452-2 C3034 |
判型・頁数 | A5判・314ページ |
定価 | 本体4,600円(税込5,060円) |
在庫 | 在庫あり |
地方自治体の都市経営と公益事業者の相克の歴史を明治・大正・昭和に綿って報償契約という切り口で究明した。著者の豊富な実務経験により、経済・法律・社会にまたがる幅広い角度から論じたきわめて優れた著作である。
まえがき
第Ⅰ部報償契約の成立
第1 章ガス事業の歴史
第2 章大阪のガス事業
1.大阪の経済構造の変化
2.ガス事業の申請と設立認可
3.停滞と再起
4.外資の導入
第3 章大阪市の都市環境の変化と市政
1.財政危機
2.鶴原定吉市長と片岡直輝社長の関係
(1)鶴原定吉の経歴
(2)片岡直輝の経歴
(3)日銀ストライキ事件
3.鶴原定吉の市長就任
第4章鶴原市長の準備
1.都市経営の決意
2.大阪朝日の準備キャンペーン
第5 章法律論争
1.新聞紙上での論争
(1)土地所有と指令権限
(2)報償契約の論拠
(3)市営主義の効率性
(4)指令書についての内務省の評価
(5)市営と自然独占
(6)報償条件
(7)外国人に対する不安
(8)片岡社長の不満
(9)販売競争の余波
2.法律家の意見
(1)小島忠里の主張
(2)善積順蔵の主張
(3)論評第
6 章市長の決意
1.大阪巡航汽船の報償契約
2.市長の意見表明
第7 章市長応援の大衆煽動
1.演出された「市民運動」
2.ガス問題市民大会
(1)実施組織の立上げ
(2)提灯行列の企画と頓挫
(3)実施計画
(4)大阪朝日の当日の集客紙面
(5)主催者側の今後への不安
3.市会のガス問題建議案可決
第8 章報償契約締結への流れ
1.仲介者の努力
2.報償仮契約の締結
3.報償契約の審議と調印
第9 章報償契約の妥結と時代潮流
1.公営化の潮流
(1)欧州での公営の普及
(2)市の財政への独占利益の吸収
(3)私設公益事業と政治家・官僚との癒着の危険
(4)外資排斥思想
2.仲介の好機
(1)大阪市側
(2)大阪瓦斯側
3.報償条件の直接的評価
第10 章報償契約の伝播と歴史的評価
1.報償契約の全国への流布
2.報償契約の主要論点
(1)独占の保証
(2)道路の使用許可と使用料
(3)報償金の納付
(4)公用料金の割引
(5)料金協議
(6)事業買収
3.大阪市報償契約締結の歴史的評価
4.拡大する大阪市の財政規模
第Ⅱ部大正・昭和初期の報償契約
第1 章報償契約をめぐる紛争
1.大阪電燈事件
2.東京瓦斯事件
3.函館水電事件
4.名古屋電気鐡道事件
5.紛争問題の総括
第2 章法整備と報償契約
1.鉄道の事業法と報償契約
2.電気事業法と報償契約
3.道路法と報償契約
4.瓦斯事業法と報償契約
第3 章都市圏の成長と報償契約
1.昭和恐慌
2.営利事業依存の大阪市の財政
3.瓦斯事業法改正とその背景
第Ⅲ部戦時期以降の報償契約の衰微
第1章戦時期から戦後復興にかけてのガス事業
1.国家統制の強化と終戦
2.戦後復興と報償契約
3.大阪市財政の困窮
第2章高度経済成長と大阪市報償契約の運用
1.高度経済成長とガス事業
2.報償金減額の話合い
第3 章大阪市報償契約の買収条項の満期の到来
1.存続する報償契約
2.生産、供給設備の一体化と石炭化学会社化
3.買収条項に対する学説
(1)買収条項における債務の性質
(2)買収権の時効
(3)起算日としての開業日
(4)買収価格
4.買収権発生に対する大阪市の対応
5.通商産業省の考え方
第4 章買収権の消滅時効到来の問題
1.催告による6 ヶ月の暫定猶予処置
2.消滅時効の成立と援用についての約定
3.報償契約の改定交渉
4.我妻榮の鑑定意見
第5 章報償契約の解除
1.高度成長の終焉と経営危機
2.利益低下の報償契約への影響
3.報償契約の矛盾の増大と契約解除
山田廣則(ヤマダ ヒロノリ)
昭和14年(1939)年大阪に生まれ。昭和39年東京大学法学部卒。同年大阪ガスに入社、以降営業部、東京支社、経営調査部などに勤務、平成14年(2006)副社長。現在同社特別参与。大阪ガスエネルギー文化研究所特別顧問。この間関西経済連合会、関西経済同友会での経済活動や関西学院大学、追手門学院大学、大阪成蹊大学で教育にも携わる。平成23年大阪大学大学院経済学研究科後期課程単位取得。経済学博士