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「間」に生起する自閉症スペクトラム
永浜明子 著
紙 版電子版
自閉症スペクトラムは人と人の間の関係性の中に出現・消失するものであることを提示する。臨床哲学からみた捉え方と対処法。
出版年月 | 2020年02月29日 |
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ISBN | 978-4-87259-703-5 C3011 |
判型・頁数 | A5判・312ページ |
定価 | 本体4,000円(税込4,400円) |
在庫 | 在庫あり |
自閉症スペクトラムは、人と人の関係性のなかに存在する―
臨床心理学やカウンセリングの分野において様々な変遷を遂げてきた自閉症概念はいまだに不確定で、検討を要するものである。10年にわたり自閉症スペクトラム当事者とともに修学や日常生活の<困り>に向き合ってきた著者が、その歩みのなかから関係性や当事者の変化を振り返り、自閉症スペクトラムが人に属する障がいではなく、人と人の間の関係性の中に出現・消失することを提示する。臨床哲学的アプローチが打ち出す、自閉症スペクトラムの捉え方と<困り>への対処法。
序章
第1 節問題意識
第2 節本書の目的・意義
第3 節研究協力者・研究方法
第4 節倫理的配慮
第5 節本書で使用することばの表記・定義
第6 節本書の構成
第1 章臨床哲学と当事者研究のなかでの本書の位置づけ
第1 節客観科学主義重視による事例・個別具体の排除と現象学的視点
第2 節筆者とA 氏にとっての臨床哲学
第3 節筆者とA 氏にとっての当事者研究
第4 節二者の臨床哲学・二者の当事者研究
第2 章自閉症概念の変遷
第1 節自閉症概念の出現
第2 節言語・認知障害説へ
第3 節日本における自閉症概念の変遷
第4 節乱立する自閉症概念
第3 章A 氏との歩みと交換日記
第1 節A 氏との歩み
第2 節交換日記による会話・対話
第3 節交換日記の意味・意義
第4 節文字による感情交流
第4 章修学におけるA 氏の〈困り〉
第1 節発達障害のある学生の修学における課題
第2 節〈困り〉ということばの選択
第3 節修学における〈困り〉の具体的事象および対処・対応
第4 節ことばの選択・共有
第5 章日常生活におけるA 氏の〈困り〉
第1 節発達障害のあるひとの日常生活における課題
第2 節〈困り〉に対する認識の了解・共有のプロセス
第3 節日常生活における〈困り〉の具体的事象および対処・対応
第4 節〈間〉にあるズレ
第6 章A 氏との関係性の変化
第1 節研究の手順
第2 節四つの異なる関係性
第3 節関係性の変化の要因
第4 節筆者の変化
第5 節支援から〈共歩〉へ
第7 章自閉症スペクトラム再考
第1 節すべての〈困り〉に通底する〈困り〉および対処・対応の基軸
第2 節自閉症スペクトラムの特徴に対する疑義
第3 節医学的診断・脳科学に対する違和感およびその限界
第4 節ひととひととの〈間〉の障がい
第5 節関係性によりうつろう特性
終章
第1 節障がいを〈理解する〉〈認める〉の誤謬
第2 節障がいをうけとめる
第3 節共生のかたち第4 節本書のむすび
おわりに
初出一覧
文献
索引
永浜明子(ナガハマ アキコ)
立命館大学スポーツ健康科学部准教授。
和歌山大学教育学部卒業、筑波大学大学院修了、Long Island University 大学院修了、大阪大学文学研究科博士修了。沖縄県立看護大学、大阪教育大学を経て現職。