全ての書籍 書籍検索/教科書/社会科学/社会/建築・土木/自然科学 オールドニュータウンを活かす!
紙 版
田園都市からの系譜とともに日本のニュータウンを類型化、現場での実体験を交えつつオールドニュータウン問題について論じる。
出版年月 | 2023年12月20日 |
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ISBN | 978-4-87259-785-1 C1052 |
判型・頁数 | A5判・352ページ |
定価 | 本体3,600円(税込3,960円) |
在庫 | 在庫あり |
ハワードの田園都市論からニュータウンへ――
人々の暮らし、まちづくりは一世代だけで終わるものではなく、その時の時代に合わせて変容を重ねつつ生き抜いていく必要がある。オールドニュータウンの暮らしの活性化に向けての現場での小さな試み、小さなつぶやきの中に、その萌芽があるはずである。(本文より)
1975年頃からニュータウンの計画・設計・研究に取り組んできた著者が、現場での実体験を交えて「オールドニュータウン問題」について論じる。
近代ニュータウンのルーツである理想都市の源流から第二次世界大戦以降のニュータウンの歴史を、計画者、設計者らが時代のテーマと格闘してきた結果と見なしたうえで俯瞰し、従来の「ニュータウン再生」議論をこえて、オールドニュータウンを「活かす」ことによる大都市圏郊外の魅力化・再編を問題提起し、人口減少・超高齢社会における公的セクターの重要性等の具体的な提言を行った。
また、戦後大都市圏への人口集中によるスプロール対応策として、主に大都市圏郊外に造られてきた、一見類似して見える日本のニュータウンを類型化すると同時に、戦後日本のニュータウン事業の初期(千里ニュータウンとほぼ同時期)に、事業化された兵庫県の「明舞団地」(明石舞子団地)における暮らしの活性化に向けた挑戦を事例研究として紹介する。
プロローグ―ある郊外鉄道と沿線郊外ニュータウンの将来
第Ⅰ部 理想都市の系譜から日本のニュータウンへ
第1章 理想都市からニュータウンへ―その歴史を俯瞰する
Ⅰ 19世紀初頭からハワードまでの理想都市の系譜
Ⅱ ハワードの田園都市論へ
(1)イギリス大都市の環境悪化と都市の拡大
(2)ハワードという人
(3)ハワードの田園都市論
Ⅲ ハワード以降第二次世界大戦までの主な動向
(1)イギリス/アメリカ等
(2)ペリーの近隣住区論とラドバーン方式
(3)日本
Ⅳ 戦後の動向
(1)イギリスにおけるニュータウン法の成立から建設、そして終焉へ
(2)日本の計画・設計現場で参照された代表的なニュータウン
Ⅴ 今日までの系譜・動向から学べること
(1)理想都市の系譜から
(2)イギリスのニュータウン等の今日的動向から
第2章 日本のニュータウンの全体像と再生議論
Ⅰ 戦後から今日までの日本のニュータウン
(1)戦後の住宅事情と住宅政策
(2)日本最初の本格的大規模ニュータウン―千里ニュータウン
Ⅱ 日本のニュータウン計画・設計の“現場”
(1)計画・設計の発注者は誰か
(2)開発条件の検討
(3)計画・設計の業務内容
(4)ニュータウン像
(5)地形分析・造成計画・幹線道路計画
(6)土地利用計画・住区構成計画・施設構成計画
Ⅲ 日本のニュータウンの概要
(1)事業目的
(2)立地
(3)事業規模
(4)事業開始時期
(5)事業期間
(6)事業主体と事業手法
(7)居住人口・人口移動・高齢化
Ⅳ 日本のニュータウンの特徴と課題
(1)生活空間の特徴と課題
(2)居住者の特徴と課題
(3)暮らしの特徴と課題
(4)ハワード的視点の不在
Ⅴ 「ニュータウン」の定義
Ⅵ 日本のニュータウンの類型
Ⅶ ニュータウン再生議論の動向
(1)ニュータウン再生議論のはじまり
(2)「ニュータウン再生」議論の内容
第Ⅱ部 日本のオールドニュータウンをどう考えるか
第3章 挑戦する明舞団地
Ⅰ なぜ明舞団地か
Ⅱ 事業主体としての兵庫県・兵庫県住宅供給公社
Ⅲ 模索する住民主体のまちづくり
Ⅳ 「明舞まちづくり広場」から「明舞まちづくり交流拠点」へ
Ⅴ 模索する住宅・住まい方
Ⅵ 高齢者の食生活と見守り
Ⅶ 在宅医療とまちづくり
Ⅷ 公園を活用して子育て環境の充実へ
Ⅸ 明舞団地と近隣の大学
Ⅹ 『兵庫県ニュータウン再生ガイドライン』とその現場での活用
Ⅺ 明舞団地から何を学ぶか
第4章 悩める地方自治体
Ⅰ ニュータウンの呼称
Ⅱ ニュータウン特有の課題
Ⅲ ニュータウン再生の主な施策
Ⅳ ニュータウン再生に向けた連携主体
Ⅴ ニュータウン再生の困難点
(1)ニュータウン再生の意義に関する困難点
(2)ニュータウン再生の課題そのものに関わる困難点
(3)ニュータウン再生の主体に関わる困難点
(4)ニュータウン再生の財源等に関わる困難点
(5)その他の困難点
Ⅵ 困難点をどう克服するか
第5章 オールドニュータウンのサバイバル時代への提言
Ⅰ そのオールドニュータウンをどうする
Ⅱ オールドニュータウン再生議論で欠けている3つの視点
Ⅲ 「再生させる」から「活かす!」へ
Ⅳ 「活かす!」とはどのようなイメージか
Ⅴ オールドニュータウンのサバイバル時代―5つの《ビジョン》と32のTo Doリスト
第6章 そして現場から/へ―Q&A
Ⅰ オールドニュータウンの都市計画上の位置づけや、暮らしの活性化の評価に関するQ&A
Ⅱ オールドニュータウンを活かしていく主体に関するQ&A
Ⅲ 主として住民の方々からのQ&A
Ⅳ 主として公的セクターの方々からのQ&A
エピローグ―流動性のある社会とオールドニュータウンを活かした多様な暮らし方の実現へ
三好庸隆(ミヨシツネタカ)
武庫川女子大学生活環境学部長・研究科長。大阪大学工学部建築工学科卒業。IAESTE海外交換派遣研修生としてイギリス・ハーロウニュータウン開発公社在籍後、大阪大学大学院工学研究科建築工学専攻博士前期課程修了。㈱市浦都市開発建築コンサルタンツ(現・㈱市浦ハウジング&プランニング)でニュータウン計画・設計等の実務に携わりつつ、諸外国の都市・建築の視察を重ねる。1988年、㈱PPI計画・設計研究所を設立。2007年より武庫川女子大学生活環境学科教授。その間大阪大学招聘教授歴任。博士(工学)。一級建築士。
2024年3月4日
『オールドニュータウンを活かす』が雑誌で紹介されました
『都市問題』3月号と『月刊ガバナンス』4月号にて、『オールドニュータウンを活かす!―理想都市の系譜から多様な暮らし方の実現へ』(三好庸隆 著)を紹介いただきました。